九条の会たより No.216 (2024年7・8月号)

三上智恵監督「戦雲」を鑑賞して

【この映画のこと】

「戦雲」は八重山の言葉で「いくさふむ」と言う。戦争の始まりを告げる不穏な雲という意味である。映画の冒頭に石垣島の山里節子さんが自作の歌を歌うシーンがある。「戦雲がまた湧き出てくるよ、怖くて恐ろしくて、眠ろうにも眠れない、憎い戦争、絶対にいやだ」と石垣島のことばで歌うのだ。これがこの映画の基調をなしている。軍事要塞化が進む沖縄の南西諸島の多くの人々の気持ちを代弁している。

 さて、去る4月15日に今池の映画館キネマノイで私は鑑賞した。映画館によるとたくさんの鑑賞者がかけつけたので、6月29日から7月5日までアンコール上映が予定されている。上映時間132分。

 沖縄本島、石垣島、宮古島、与那国島のそれぞれの軍事基地強化の動向とそれに抵抗する人々の姿を丹念に写している。予告編的映画(スピンオフ45分)と比較すると、抵抗の現場の人々の表現だけでなく、島々の自然と文化の描写にも力をいれており表現が豊かに発展しているのはうれしい。

【与那国島のこと】

私がいちばん印象にのこったのは与那国島のことだ。漁業のカジキ、畜産業の牛、そして野生の与那国馬。カジキ漁の漁師がカジキにさされて大きなけがをするが、後にそのかたきをとる。その誇らしい姿に感動する。

 与那国島は、2005年に町をあげて、自立・自治・共生を基本理念に、「与那国自立へのヴィジョン」を策定した。近隣の東アジア地域との友好・交流の推進などをかかげた。

三上智恵 著  
戦雲(いくさふむ)要塞化する沖縄、島々の記録
集英社 1,320円(税込)新書版320頁

三上智恵著「戦雲 要塞化する沖縄の記録」(集英社)によると、これが実現していれば、自衛隊がはいってくることはなかったという声も聞こえてくる。2007年から本土の人間がどう動いて一部の島民を組織して自衛隊を導入したか。そしてミサイル基地の建設や、大規模な軍港の建設までが島民に十分に知らされないまま計画が進んでいることが分かる。自衛隊の駐留に賛成した人が、いまでは要塞化には反対するという態度をしめしている例もあるという。

 いちど与那国島を訪問してみたいという気持ちがわきあがってくるのである。

(編集委員  OK)

5月14日~19日名古屋市民ギャラリーにて 第15回 昭和区平和美術展 行いました!

 

今年も平和を願う幅広い年代(1歳から90歳代)の人たちのいろんなジャンルの作品が、分け隔てなく、同じフロアーに展示されました。今年は絵画、書、写真、手工芸で133点の作品と平和の詩(俳句、短歌、川柳)コーナーで45句の作品が並びました。715人の方が来場されました。

 期間中、会場には出展された皆さんの日常への慈しみや平和への願いが溢れていました。また、キャプションを丁寧に読み、作品に込められた思いに触れながら楽しむ鑑賞者たちの姿も加わり、何とも言えない「時間」が流れているように感じました。

 「戦死した父を想う」と題した4首の短歌と写真には多くの人が足を止め、見入っていました。中でも子ども連れの家族の方たちが食い入るように観ている姿はとても印象的でした。家に帰る道中や家に帰ってからどんな話をしたのでしょうか。若い人たちの心の底にも何かが残されたように思います。事実を知ること、知ったことを語り継いでいくことの大切さを改めて思いました。

 今年は初めての会場(名古屋市民ギャラリー)での開催のため、いろいろな心配や不安もありましたが、皆さんのご協力のおかげで、準備、開催、撤収と無事、終えることが出来ました。平和美術展の企画運営に携わって来られた実行委員を初め、当日の要員やスタッフとしてご尽力いただいた皆さん、ありがとうございました。また、作品を出展してくださった皆さんにもこの場をお借りしてお礼申し上げます。

参加者のこえ

小さい子からいろいろな年代の方が出展されているんですね~
いいですね!!

この美術展は出品している人が感じている日常の幸せがあふれていると思いました。

一緒に♪ぞうれっしゃがやってきた♪を歌いましょう!!

 今年の語り部コーナーでは作曲家の藤村記一郎さんに合唱曲「ぞうれっしゃがやってきた」が生まれるまでのお話を中心に聞きました。

 藤村さんが大人と子どもが一緒に歌うことが出来る合唱曲を創るきっかけになったのは絵本「ぞうれっしゃがやってきた」です。藤村さんが著者である小出隆司さんへの取材の中で北王園長から聞いた話も紹介されました。―餌をもらうため立ち上がったツキノワグマに猟師の銃弾が放たれ殺された― 東山動物園の北王園長は象を救うために抵抗したけれども戦争中に多くの動物を殺した辛い体験で戦後何十年も経っても夜うなされていたというお話に「戦争に終わりはない」と改めて思いました。

 藤村さんから 一緒に♪ぞうれっしゃがやってきた♪を歌いましょう!!と呼びかけがありました。

平和美術展に対し名古屋市が後援拒否

今回の第15回昭和区平和美術展について、例年どおり名古屋市の後援名義を申請したところ、不承認(拒否)との連絡が来ました。理由は、12回(2018年)、13回(19年)の展示の一部に、「政治的中立性を欠くものがあった」というものです。14回はどうだったのかというと「見ていない」とのこと。誰が聞いても「はぁ?」と言いたくなる理由です。前回の内容に問題があったから今回は後援できない、というならともかく、5年も6年も前の展示内容を持ち出して後援拒否とは、とても納得のいくものではありません。実は2020年、21年にも後援が同様の理由で拒否されています(いずれもコロナで中止)。しかし、一昨年2022年に再開した第14回平和美術展は、名古屋市の後援ありで実施されているのです。

その14回に問題があったかどうかをチェックしなかったのは市側の都合です。ならば第15回は14回同様後援OKとし、それで問題があれば次回は後援しなければ良いだけでは無いでしょうか。

この手続き上の問題に加えて市の後援拒否にはもっと重大な問題があります。それは、「政治的中立性を欠く」ことに明確な基準を示せないという問題です。市は後援承認の基準として、そのイベントが「主目的が文化振興であること」、「政治や宗教目的のものでは無いこと」などを示していますが、今回の後援拒否の理由は、「展示物のコメントの中に、2点ほど、当時の政権を批判するものがあったと住民から問い合わせがあり、現認した」ことを挙げています。100点を超える展示の中で、1点でも現政権を批判するコメントを書いたら全体が政治目的の行事だと言えるのでしょうか。全く筋の通らない理屈です。そもそも「政治的中立性を欠く」ということを何を持って判断するのでしょうか。行事全体が現政権打倒を訴え、その行動を呼びかけるものだったりすれば、100歩譲って市の後援は難しいということもあるかもしれませんが、全くそのような展示ではありません。そもそも、憲法を守らない、壊そうとする政権を批判することのどこが政治的中立性を欠くのでしょうか。むしろ憲法尊重遵守義務を帯びる公務員は、その立場に立たなければならないのであって、中立性を欠いているのは名古屋市の方だと言わねばなりません。この問題は引き続き、問いかけ続けてゆきます。(世話人会)

昭和区九条の会 総会を行います

 世界では大きな戦争が起きています。この戦争が一刻も早く終結するよう願っています。しかし日本では、私たちの平和への願いに逆行して、沖縄の宮古島、与那国島などにミサイル基地や弾薬庫を配備し、敵基地攻撃能力を発揮できる自衛隊基地を増強しています。

 私たち九条の会は、日本を戦争する国に決してさせないように、憲法9条を生かしてこそ「平和」な暮らしができることを市民の皆さんに伝えています。平和をめぐる情勢が厳しさを増す中、総会では会員のみなさんと共にこの1年間の活動のまとめをし、次期の活動はどうあったら良いのか考え合いたいと思います。みなさん、お誘いあわせの上、ぜひ総会にご出席ください。なお、会員でない方も講演を聞いていただくことはできます。

  • 日時:2024/7/20(土)PM1:30〜4:00
  • 会場:昭和生涯学習センター視聴覚室
  • 内容: 
    • ①講演 矢野 創さん (愛知県平和委員会事務局長)
    • ②2023年度活動のまとめ・ 2024年度活動方針案
    • ③会計報告
    • ④総会アピールなど

(昭和区九条の会事務局)

昭和区平和行進に参加しました

 6月9日(日)に昭和区の平和行進が行われました。2024あいち平和行進の一環で80人参加しました。川名公園に集合し出発式を行い、昭和区国民平和大行進アピールを採択し、御器所の天神町公園を経由して鶴舞公園まで元気に行進しました。参加者は、「なくそう核兵器、いかそう9条」「日本政府も核兵器禁止条約に参加しよう」「ノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキ、ノーモアヒバクシャ」などとコールし、「青い空は」などを歌いながら行進しました。

5/3市民のつどいに参加しました

 5月3日の憲法記念日、名古屋市公会堂で愛知憲法会議主催の「憲法施行77周年 市民のつどい」が開催され、第二会場も含め満席の1,600人が参加しました。

 第一部では講談師の神田香織さんが「はだしのゲン」を迫力ある講談で伝え、第二部では斎藤幸平さんが「奪い合いの経済から分かち合う未来へ」と題し講演しました。集会後はあいち総がかり行動実行委員会の呼び掛けでデモ行進し、平和憲法を守ろうと大きくアピールしました。

平和がいいな昭和区の会 学習会・総会が行われました

 6月12日(水)池内わらべ保育園2Fホールにて、まずはホッとスルーズ(有志)のみなさんによる「月桃の花」「平和のうた」などの合唱と、「なごや平和の日」制定と市の平和啓発活動について「名古屋市政出前トーク」でお話を聞きました。

 その後総会に移り、1年間の活動と今後の予定などについて報告がありました。

 会員でない方の参加もあり、平和を望む新しい仲間が増え、充実した会となりました。

第18回昭和区平和のつどい(9/21)
講師は「せやろがいおじさん」

つながろう平和な未来を私たちの手で
~知ること、声をあげることの大切さ~

講演のほかにも[平和の俳句」甲子園などの楽しいステージ企画、展示企画、物品販売、服交換会など盛りだくさん!

  • 日時:2024年9月21日(土)11:00〜
  • 場所:名古屋市公会堂4Fホール(鶴舞公園内)
  • 参加費:500円(大学生以下無料)

★毎月第4月曜18:30〜ぴーぷるセミナールーム(御器所通3-18エスティプラザ御器所4F)での実行委員会でにぎやかに話し合っています。あなたもアイディアいろいろお寄せください!

九条の会 スーパー前まち宣伝&署名

  • 7月 9日(火) 八事イオン前  10:30〜11:00
  • 7月16日(火) 桜山交差点  12:00〜12:30
  • 7月21日(日) 興正寺マルシェ  10:30〜11:00
  • 7月29日(月) いりなかバロー前  10:30〜11:00
  • 8月 9日(金) スーパーヤマナカ前  10:30〜11:00
  • 8月16日(金) 桜山交差点  12:00〜12:30
  • 8月21日(水) 興正寺マルシェ  10:30〜11:00
  • 8月29日(木) 御器所交差点  12:00〜12:30

御器所交差点スタンディング宣伝

  • ご一緒に「へいわのうた」を歌いましょう♪
  • 7月19日(金), 8月19日(月)12:00〜12:30

 「何でも語ろう会」

  • 7/6(土)・7/20(土)・8/3(土)・8/17(土)
  • 会 場:昭和区長池町3-27 深田荘101号室
  • 連絡先:「天元」鈴木さん(090-9170-5569)P有
  • 参加費:1回300円/人
  • 時 間:毎月第1・3土 午前10時〜11時45分

世話人会

  • 7月18日(木), 8月15日(木)19時〜
  • 高齢者就業支援センター4階

※会員ならば、どなたでも参加できます!

【編集後記】

三上智恵監督の映画「戦雲(いくさふむ)」は、上映延長を求める声が多数寄せられたようで、ナゴヤキネマ・ノイで6月29日(土)〜7月5日(金)11:00〜アンコール上映が決まったとのことです。嬉しいことです。しかし、一方で、6/16投開票で行われた沖縄県議選では、オール沖縄の議席が24→20に後退するという残念な結果になりました。果たして「再び沖縄を戦場にするな」の声は政治に届くのでしょうか。ますます国民全体の大きな運動が必要とされてゆく情勢です。(S)

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