九条の会たより No.217 (2024年8月総会・なごや平和の日制定記念特別号)

大軍拡の危険性 殺傷武器輸出への動き

7月20日(土)、昭和区生涯学習センターで昭和区九条の会総会が開催されました。冒頭の学習会で矢野創さん(愛知県平和委員会事務局長)が上記のテーマで1時間講演をしました。その要旨を紹介します。

 【国連憲章の擁護こそ世界平和の保障-抑止力では平和は守れない】

 矢野さんはまずパレスチナへのイスラエルの蛮行に対する抗議がひろがり、アメリカの学生の運動の影響で世界の世論の大きな変化がある、国連憲章と法の支配の擁護こそ世界の流れになっていると強調しました。

 つぎに「抑止力」論(平和は核兵器や武力によって守られるというあやまった考え方)を乗り越えようと述べ、「抑止力」は世界では通用していないと言いました。 

 NATOとロシアの関係についてふれ、軍事同盟であるNATOはアメリカなどの核兵器を「抑止力」として威嚇してきたが、ウクライナを侵略しているロシアには「抑止力」は通じていないと強調しました。

 【軍拡と増税の道を進む日本とそれへの抗議と反対の運動を広げよう】

 2022年末のいわゆる「安保三文書」の閣議決定は、専守防衛を超えた敵基地攻撃能力を保有する大軍拡大増税への道である。五年で総額43兆円もの軍事費は現行の倍増になり世界第三位の軍事大国になる。アメリカの要求にもとづきNATOなみのGDP2%水準をめざしている。敵基地攻撃能力は日本を守るものではなく、日本全土が報復の対象になる。

 軍事産業が盛んな愛知県は標的になるのはあきらかである。日本はアメリカ製の武器を「爆買い」している。米軍ではすでに廃棄した無人偵察機「グローバルホーク」ブロック30をこれから自衛隊に導入しようとしているが、毎年の維持管理費120 億円のうち30億円がアメリカの技術者40人の生活費(一人7500万円)である。また北朝鮮のミサイルに対応するとするイージスアショアというミサイルは秋田県などで住民の反対運動で地上への配備中止を決定したにもかかわらず、これを載せる艦船を新しく建造しようとまでしている。すでに196億円を支払い済みである。

 同時に殺傷兵器を含む武器輸出は、紛争地の市民の命をうばい利益をあげる「死の商人国家」への道を歩むものである。愛知県小牧市にある三菱重工は、米国製のミサイルのライセンス生産に関わっている。三菱重工は大軍拡予算にともない、売上高を二倍にのばす見通しであり、人員を愛知県でも6000人増やすといわれている。

 軍事費はどんどん増大していく可能性が高い。円安でインフレが進行しているが、武器を買うにも値段があがり当初予算では間に合わなくなるだろう。そうすると、残された道は消費税増税である。1%増税で2兆円収入が増える。大軍拡大増税である。国民はいっそうの生活苦においやられるだろう。この方向に反対する運動を大いに広げようではないかと力強く訴えられました。(文責 編集員会KO)

平和憲法を未来につなぐ
このまちのあちこちで 思いをひろげて 9条守る

昭和区九条の会第19回(2024年期)総会<7月20日>
私たちは9条改憲にきっぱり反対します!!
一人でも多くの人に9条を守る取り組みを広げていきましょう。

総会参加者で2023年期まとめ・決算、2024年期方針・予算などを承認し、アピールを採択して新しい1年がスタートしました。

<2024年期方針>

 今年、自衛隊が発足して70年になります。自衛隊は、2014年以降変質を続けています。安倍政権下で「武器輸出3原則」を「防衛装備移転3原則」に変え、「集団的自衛権の行使容認」「安保関連法の強行採決」岸田政権では、「安全保障3文書を閣議決定」「敵基地攻撃(反撃)能力の保有」「次期戦闘機の第3国への輸出」と専守防衛を打ち消すものです。

 昭和区九条の会は、憲法9条を変えさせない一点で多くの人々と協働し、次の世代に繋いでいくために、創意工夫をこらした活動が必要と考えます。2025年7月で、創立20周年を迎えます。みんなで希望に満ちた企画の準備を進めましょう。

(1)憲法9条改悪NO! 9条と平和を守り続ける活動を進めます。憲法改悪を許さない全国署名をスーパーマーケット前など、地域の皆さんに継続して行います。

(2)戦跡プロジェクト「あおぞら」で、地域の戦跡をめぐり、戦争体験を語り部の方から伝え聞くなどを行います。

(3)九条の会グループ、地域のつどいを行います。「川名・丘と坂のまち九条の会」「パーチェ吹上」「松栄 平和と9条のひろば」「ごきそ9LOVE」「村雲学区」をはじめ、つどいを企画し、実施します。

(4)多くの人たちと平和を学ぶ企画を行い、参加します。

  ①第16回昭和区平和美術展を開催します。

   開催期間:2025年5月13日(火)〜5月18日(日)
   会場:名古屋市民ギャラリー栄(8階第9、第10展示室)

  ②第18回昭和区平和のつどいに参加します。

   2024年9月21日(土)名古屋市公会堂4階ホール
   講演:お笑い芸人「せやろがいおじさん」
       他ステージ企画など(チラシをご覧ください)

  ③平和のともしびウォークに参加します。

   12月8日にともしびを持ち、市民に平和を訴えます。

  ④原水爆禁止平和大行進に参加します。

   核兵器廃絶を目指し、核兵器禁止条約に日本が批准するよう市民に訴えます。

  ⑤平和がいいな昭和区の会の御器所交差点スタンデイングに参加します。

  ⑥8月15日の東別院「平和の鐘撞き」に参加します。

  ⑦他団体が主催する学習会に参加したり、他団体と交流します。

(5)九条の会たよりの定期発行をします。

(6)昭和区九条の会ホームページの内容を充実させます。

(7)九条の会会員600名を目指します。

(8)事務局、世話人会への参加を募り、充実させます。

(9)会費と寄付などにより健全財政を維持します。

 

<2023年期活動のまとめ>

昭和区九条の会は、どんな状況でも、憲法9条を守り続ける頼りになる会を目指して、この1年様々な活動を通じて多くの方に平和・憲法9条をアピールしてきました。

①「憲法改悪を許さない全国署名」毎月スーパーマーケット前などで行いました。署名数は、前回集約から今年7月1日現在、252筆でした。

②戦跡プロジェクト「あおぞら」の取り組みは、大須の戦跡めぐりなど3回行いました。

③「私たちのまちにも戦争があった」語り部の会(村雲学区有志とごきそ9LOVEの共催)
1945年9月に日本軍の高射砲によってB29爆撃機が村雲小学校付近に墜落しました。現場の近くに自宅があった方からお話を聞きました。

④なんでも語ろう会:毎月第1、第3土曜日に行いました。

⑤第15回昭和区平和美術展を2024年5月14日から19日まで開催しました。
出展数133点、来場者数715人でした。美術展の名古屋市後援が拒否されたため、後援するように交渉しましたが、撤回されませんでした。

⑥第17回平和のつどい(実行委員会)を2023年9月30日開催しました。
ジャーナリスト金平茂紀さんの講演と文化交流(ステージ企画)を行い、参加は265人でした

⑦平和のともしびウォーク:12月8日各区(7団体)の九条の会と共にアピールしました。

⑧原水爆禁止国民平和大行進(昭和区コース)に参加しました。

⑨平和がいいな昭和区の会:毎月19日の御器所交差点スタンデイングに参加しました。

⑩平和の鐘撞き:台風接近のため中止となりました。

⑪広報

イ)九条の会たよりを、隔月で発行し会員に届けました。
ロ)昭和区九条の会のホームページで活動報告をしました。
ハ)日常の運営は、毎月の世話人会と事務局が連携しながら課題を討議しました。
ニ)現在の会員数は、446人です。 

<2024年期の体制(敬称略) 

※代表世話人 板津慶幸、小林武、島津通、能登正嗣、古田剛、山田昭義 

※事務局 馬渕博光(事務局長、御器所)、藤原葉子(会計、吹上)、奥田克之(広路)、奥山久代(松栄)、新沼里子(滝川)、舟橋節子(松栄)、岩田幸雄(吹上) 事務局協力員 木村好男

※たより編集委員 柴田民雄、馬渕博光、藤原葉子、奥田克之、小川けいこ

9条と平和を守り続けるために
会費500円の納入と
カンパをお願いします

  2025年7月で昭和区九条の会は創立20周年を迎えます。引き続き、9条と平和を守り続ける願いを地域、職域で広げながら、豊かな活動を通して平和憲法を若い人たちに手渡していきたいものです。各地域・職域で担当の方が伺います。ご協力よろしくお願いします。

東邦高校生が平和への思いを10年受けつぎ「なごや平和の日」の制定を実現!
東邦高校平和実行委員のM.Mさんに特別インタビュー

「なごや平和の日」条例制定の経緯

名古屋市は1942年4月18日から1945年7月26日まで計63回の空襲があり8,000人近くが亡くなりました。

1944年12月13日には東邦高校の前身である東邦商業学校の生徒ら20人が動員先の三菱重工業名古屋発動機製作所(東区大幸町)で犠牲になり、東邦高校では毎年慰霊の行事が行われているそうです。

東邦高校の平和の碑
東邦高校の慰霊行事の様子
(いずれも東邦高校Webサイトより)

2014年、生徒会の中に「名古屋空襲慰霊の日制定実行委員会」をつくり、市議会に請願を提出。市議会では63回あった名古屋空襲の「どの日」を慰霊の日とするかで意見がまとまらず、なかなか採択になりませんでした。その間、当初の生徒は卒業し、新しいメンバーに入れ替わる中で、平和への想いを受け継ぎ、実行委員会を引き継いで粘り強く請願運動を続けてきました。そして昨年12月の請願審査で、市民アンケートで最も空襲の印象が強いという回答が多かった(名古屋城の燃えた日でもある)5月14日を象徴的な日とすることで決着し、請願は全会派一致で採択。今年3月の市議会で、5月14日を「なごや平和の日」と定める条例が制定されました。この結果を受けて「名古屋空襲慰霊の日制定実行委員会」は「平和実行委員会」としてさらに幅広い平和の活動を展開しているそうです。

7月14日(日)愛知サマーセミナーで、東邦高校平和実行委員会「平和って何?戦争って何?」の講座に昭和区九条の会のメンバー6人が参加。終了後、実行委員のM.Mさん(2年生)にインタビューができました。

インタビューに答えてくれたM.Mさん(7/14 愛知サマセミにて)

そもそもどうして始まった?

Q:10年前、請願運動を始めたきっかけは何だったのか伝え聞いていますか?

A:正確にはわかりませんが、教科書に東京大空襲や広島長崎の原爆のことは載っているのに、どうして名古屋空襲のことが載っていないのだろう?という素朴な疑問から、名古屋市に「名古屋空襲慰霊の日を制定してもらおう!」と運動が始まったと聞いています。

Q:あなた自身が平和を考えるようになったきっかけは?

A:もともと小説や映画が好きで、それから影響を受けて。また、先輩の平和への熱い思いを引き継ぎたいと思いました。

「ぞうれっしゃがやってきた」の取り組み

Q:活動で苦労したことは?

A:愛知東邦大学の先生に、次のことを相談しました。

  • どうやって周りの高校生に平和への思いを伝えたらよいか。
  • 言葉だけではなく、わかりやすく伝えるにはどうしたら良いか。
  • 何を通して伝えたらよいか。 

 そして、この先生のアドバイスにより、昨年の学園祭で「慰霊の日制定実行委員会」のメンバー、生徒会、先生と一緒に「ぞうれっしゃがやってきた」のミュージカルを取り組むことになりました。

しかし、その取り組みを通して高校生にどうやって平和をつたえるか、とても苦労しました。

Q:感想は、どうでしたか。

A:実際に上演した後の反響は大きかったです。生徒達から、そんな事実があったことは知らなかった。驚いた。先生方から、改めて上演された内容を観て実感した。先生の方が感激していました。

これからの活動は?

Q:今年「なごや平和の日」が実現しました。これから活動はどうしたいですか。

A:現在は、平和実行委員会として活動を続けています。私は、広島原爆資料館を見学している小学生の姿に影響を受けました。「ぞうれっしゃ」でつながったさまざまな分野のみなさんとも協力しあって、より幅広い活動を展開していきたいと思います。沖縄にも行きたいです。

インタビューを終えて

 講座の後の短時間でしたが、こちらの質問に丁寧にお答えいただきました。

 この10年間東邦高校の生徒さんたちの奮闘があったからこそ「なごや平和の日」が実現できたと確信しました。また、「どうやったら平和を伝えられるか」と悩み考える姿に感動しました。そしてそんな高校生を育ててきた教員の皆さんの平和教育の努力の蓄積の成果でもあると思います。

 これからも、多くの高校生の皆さんが平和実行委員会として未来に繋がる活動を続けられることを願います。 

(馬渕・柴田)

戦跡めぐり「あおぞら」からのお知らせ
暑い夏 ピースあいちで平和を学びませんか

 ピースあいち夏の特別展「マンガと戦争展」を観て交流します。この特別展では「原爆」「特攻」「満州」「沖縄」の4つのテーマで16のマンガがパネルと関連資料で紹介されます。おざわゆきさんの、母親の名古屋での戦争体験を基に描かれた「あとかたの街」のパネル展示も。マンガを入り口にして戦争と平和について考える機会になりそうです。

参加される方は藤原(090-2937-5936)までご連絡ください。

  • 日時  8月31日(土)午前11時~午後1時(ピースあいち1階に集合)
  • 入場料 500円

☆戦争体験を聴く会(8月1日~8月15日)も開催されます。

平 和 の 俳 句 、 募 集 し ま す ! 

〇「第18回昭和区平和のつどい」のステージ企画「“平和の俳句”甲子園」にて、ご披露します。(企画の詳細については、下記をご参照ください)

*俳句にルール・制限は一切ありません。自由な発想をもとに、皆さんの「平和」への思いを渾身の一句に込めて、お寄せください *

〇応募〆切:9月7日(土)  ※なお当日、会場にて正午まで受付ますが可能な限り事前にご応募ください。

  • *開催日時* 2024年9月21日(土)13時5分~13時35分ごろ
  • *開催場所* 名古屋市公会堂4Fホール
  • *応募方法* 応募用紙(右)を参考に必要事項をご記入の上、1.〜3.は必ず「第18回昭和区平和のつどい“平和の俳句”甲子園」係宛を明記してご応募ください。
  • *応  募  先* 
  1. 郵送:〒466-0006昭和区北山町3-28アイレック北山101号     
  2. F A X:(052)741-3558
  3. メール:heiwa.no.819@gmail.com
  4. Googleフォーム:QRコード

【編集後記】 

昭和区九条の会総会を終え、新たな年が始まりました。今年度もよろしくお願いします。

「なごや平和の日」制定に向けて粘り強い活動を続けた高校生たちや若者が、平和の大切さに気付き活動している姿がとても心強く、胸が熱くなります。私たちもできることをコツコツと、あきらめず続けようと思いを新たにしています。

まずはこの暑~い夏を乗り越えなくちゃ。みなさん、くれぐれもお身体に気を付けてお過ごしください🍉(O)

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